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日本人によく見られるデスメタルへの偏見と冒涜

death metal

名称 デスメタル
起源・派生 ヘヴィメタル、スラッシュメタル、グラインドコア
いつから 1980年代後半
主な国 アメリカ ほか

日本の「デスメタル」あるある

  • 参考1

  • 参考2

突然ですが、皆さんは「デスメタル」と聞いてどんなことを思い浮かべますか?

  • 奇抜なメイクやファッション
  • ぎゃーぎゃー叫ぶように歌うボーカル
  • 頭を振り乱す
  • 歌詞に、社会への鬱憤、特定の人への挑発が入る

こんなところでしょうか?
この辺りは、日本のメディア(特に漫画や映画関係)が作り上げたイメージだと思います(参考1・2のような)。

特に参考2のようなメイクで、こっちを挑発してくるイメージが強いのではないでしょうか?

全然違う本来のデスメタル

残念ながら、これらは日本のメディア達が作り上げた、嘘偽りだらけのイメージです。一部当てはまっているところもありますが…

実際のところは、

  • 参考3: DEATH – The Philosopher (Remixed)

  • 参考4: Cannibal Corpse “Evisceration Plague”

ここに、デスメタルを代表する2つのバンドの楽曲を載せておきました。

  • ダウンチューニングを施したギター、ベース。
  • 半音階で構成された和音やコード進行の多用。展開形やテンションコードの前衛的な利用。
  • テンポの急激な変化、手数の多いドラム、複雑なギターリフ
  • 複雑なリズム展開、曲展開(一般的な、ヴァース→コーラス→ヴァース……の展開に従わない)
  • 高速のスラッシュビート、ブラストビートなどの特殊なドラムパターンの多用
  • デスヴォイスの使用(メロディを廃し、うなり叫ぶ歌唱法)
  • 歌詞のテーマは主に、死、殺人、反宗教、異教信仰、性的倒錯、社会批判、苦痛、など。

Wikipedia より

Wikipedia ではこのような記載がありますが、整理すると

  • 奇抜なメイクやファッション → 特段メイクもしない、服装も簡素(黒多め)
  • ぎゃーぎゃー歌うボーカル → 歌ってすらいない(メロディがなく、デスボイスで構成される)
  • 頭を振り乱す → デスメタルに限ったことではない。髪は長め
  • 歌詞に、社会への鬱憤、特定の人への挑発が入る → 「挑発」というより、死や地獄をテーマにした「世界観の表現」が主

と、まったくのデタラメであることがわかります。

よく見かける白塗りメイクは、おそらくブラックメタルの「コープスペイント」か、1980年代後半頃 X JAPAN を中心にメイクをしたバンドマンの「ヘビメタ」(差別的な用語なので使わないでね)の影響があると考えられます。たけしの元気が出るテレビは、大きな罪を犯したのかもしれません。

上記のように「死」について真剣に表現している音楽にも関わらず、テキトーなブランディングをしてしまったために、日本人は見た目やパフォーマンスでしか判断せず、音楽の中身を聞くことなく「デスメタルって(笑)」みたいな考えを持つようになってしまいました。

つまり、「見た目とパフォーマンスが奇抜な絶叫バンド」はデスメタルでもなんでもないのです。
日本人は一生懸命好きな音楽を頑張っている人たちに激しい偏見と冒涜を浴びせています。

デスメタルについていいたいこと

単純に「デスメタルをバカにするな!」と言いたいわけではありません。
どちらかというと、「好きで頑張っている人たちが可哀想だ!」と私は主張したいのです。

漫画やアニメも、アイドルの類も、いわゆる「サブカルチャー」に該当する娯楽や文化全般は、日本人から嘲笑の対象になることがよくあります。一生懸命頑張っている人を「地下」だのなんだのラベリングして、いわゆる「普通」から外れた異常な人と思い込む人間が多い。まともに話したり知ろうとすることなく。

それって、偏見であり差別だと、私は思います。

もちろん、一部の人間が「信者」あるいは「暴徒」化して、他の関係ない人々に迷惑をかけることもあります。それは良くないことで、非難されて当然です。

しかし、一部の良くない部分だけ見て全体を揶揄するのは、あたかも一部の国や宗教で起こっている差別問題のようです。

批判や非難をするなら、誰のどんなところが悪いのか、明確に判った上で行うべき。そうでないと、不必要に傷つける相手を広げてしまい、さらなる争いに発展しかねないのです。私はデスメタルを通じて、そんなことを感じました。

まとめ 〜 本当のデスメタルとは

長々と御託を並べてしまいましたが、

デスメタルとは、「重低音や半音階を使い、複雑でテクニカルな演奏をして、死に関する世界を表現する音楽」のこと

です。つまりバンドマンは表現者です。ライブに行く人、音源を聞く人は鑑賞者です。つまり芸術です。

たいして知ることもなく、揶揄したり批判したり、あしらったりする人がいない世の中となることを、私は祈っています。

日本でも、デスメタルを表現している人たちがたくさんいます。ほんの一部ですが、興味があったら下の動画を楽しんでくださいね。

  • 参考5: Placental Paralysis – Acranial Infants

  • 参考6: WORLD END MAN – Use my knife