メタルコアとは -進化し続けるメインストリーム-
metalcore
名称 | メタルコア |
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別名・類似ジャンル | 類似:ポストハードコア、スクリーモ、エモ |
いつから | 1990年代後半 |
主な国 | アメリカ、ドイツ、日本、オーストラリア |
メタル×ハードコア
ハードコア・パンクおよびヘヴィメタル(とりわけスラッシュメタル、メロディック・デスメタル)の性質が混交した音楽性を持ち、スラッシュメタル的な刻みリフ、ツーバスを用いた激しいドラムビート、ブレイクダウン、ビートダウンなどによって特徴づけられる。
音楽ジャンルの名前は、その特徴をよく現しています。メタル + (ハード)コア = メタルコア といった具合。
もともと、ヘヴィメタルとハードコア・パンクの融合は1980年代から行われてきました。スラッシュメタルやクロスオーバースラッシュ、パワーヴァイオレンス(スラッシュコア、グラインドコア等)はその例です。
それでも、それぞれのジャンルが合流することはありませんでした。メタルはメタル、ハードコアはハードコア。
正式に合流するようになったのは2000年代に入ってからとなります。1990年代後半から活躍していた At The Gates 、In Flames のようなメロディックデスメタルバンドたちの影響を受けたハードコアバンドたちが出現し、Killswitch Engage や Shadows Fall などがそれらにあたります。
また、メタル(とりわけメロディックデスメタル等)バンドたちがブレイクダウンを身に付け、メロディアスなクリーンボーカル・副旋律を奏でるようになり、それらが「メタルコア」として認知される様になりました。
どのスタイルが「起源」なのかについては様々な議論がありますが、ハードコアバンドがメタル要素を習得していったもの、メタルバンドがハードコアに接近したもの(参考2)、両者ともたどり着く「メタルコア」という音楽性に変わりはありません。と私は思います…
刻み(ブリッジミュート等)によるギターリフ、半音階や三全音(例:ドから見たファ#)を活用した音階、スクリームやシャウトを使用したボーカル。
攻撃性を持った性急なビート、ブレイクダウン(BPMが落ちたパート)。
これらがメタルコア音楽の構成要素となります。
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参考1:Killswitch Engage – My Last Serenade
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参考2:SHADOWS FALL – Thoughts Without Words
メタルコアはメインストリーム
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上記のように、あくまでメタルコアは「派生」ジャンルであるとする人が多いです。
かつてヘヴィメタルというジャンルは、
- ・デスメタル
- ・ブラックメタル
- ・スラッシュメタル
- ・ドゥームメタル
等、枚挙にいとまがないほどのサブジャンルを生み出してきました。ヘヴィメタルを軸に、多くのバンドがアイデンティティを模索していったのです。その中で生まれていったのがメタルコア。
しかしながら、メタルコアが音楽の主流となり、その流れが多くの「派生」サブジャンルを生み出しています。2010年代後半ともなると、
- ・デスコア
- ・プログレッシブメタルコア
- ・メロディックメタルコア
- ・叙情系メタルコア
あたりはすっかり主流のサブジャンルとして定着しつつありました。メタルコアを軸に、多くのバンドがアイデンティティを模索する時代となったのです。
今までは「メタル + 何か = 新しい音楽」でしたが、2010年代は「メタルコア + 何か = 独自の音楽」となったということです。
つまり、メタルコアは単なるサブジャンルの枠には収まらない、新しいメインジャンル、新しいスタンダードとして確立されたと言えると思います。
メタラーもしくはメタルヘッズと自称してきた人たちには「メタルコアはメタルじゃない」という主張をする人もいるらしいですが、「もうメタルコアはメタルの枠を超え、新しい基準になった」とするならば、その考えも当然です。
ハードロックがあって、ヘヴィメタルがあって、ハードコア・パンクやパンク・ロックがあって、メタルコアがある。そんな並びになってきました。
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参考3:日本のデスコア Victim of Deception – The Purge
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参考4:日本のプログレッシブメタルコア EARTHISTS. – DOGMA
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参考5:日本のメロディックメタルコア Graupel – Bereavement
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参考6:日本の叙情系メタルコア A Ghost of Flare – Aerials
まとめ
ここ20年でメインストリームの座を獲得したメタルコア。幾度となく「飽和」の波を越え、新しいサブジャンルを生み出してきた音楽に、これからも期待したい。